空き家・相続物件の解体工事|手続き・費用・解体前の注意点

相続した実家や空き家を「とりあえずそのままに」していませんか?

放置された空き家は、固定資産税が最大6倍に跳ね上がるだけでなく、倒壊や近隣トラブルによる損害賠償リスクを抱えることになります。

一方で、解体すれば必ず正解というわけでもありません。建物の状態や立地、相続人の状況によっては、解体を急がない方が資産価値を守れるケースもあります。

相続した空き家の選択肢
  • 売却する
  • 活用する
  • 解体する

という3つの選択肢があります。

本記事では「どのケースで解体が必要になるのか」「解体する場合の費用・手続き・注意点」を、福岡市の実務視点で解説します。

目次

相続した空き家を放置するとどうなる?【リスクと法的責任】

相続した実家や空き家を「いずれ対処しよう」と先延ばしにしている方は少なくありません。

しかし、空き家の放置は時間が経つほどリスクが拡大します。税負担の増加、損害賠償責任、行政からの強制執行など、相続人全員に重い負担がのしかかる可能性があるのです。

ここでは、空き家を放置した場合に直面する3つの重大なリスクを、法的根拠とともに解説します。

宅建士

親も元気だし「まだまだ大丈夫」という油断が、取り返しのつかない事態を招くケースを数多く見てきました。
どんな状態でも備えをしておくのに、早すぎることはありません。

固定資産税が最大6倍に増額される仕組み

結論から申し上げると、適切に管理されていない空き家は、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。

通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という税金の優遇措置が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。例えば、本来年間60万円の税金がかかる土地でも、住宅が建っていれば年間10万円程度に抑えられているのです。

しかし、平成27年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、倒壊の危険性がある、著しく衛生上有害である、景観を著しく損なっている、周辺の生活環境の保全を図るため放置することが不適切である、といった状態の空き家は「特定空家」に指定されます。

特定空家に指定されると、この住宅用地の特例が解除され、固定資産税が通常の更地と同じ金額に戻ります。つまり、年間10万円だった税金が一気に60万円に増額されるのです。

福岡市でも空家等対策特別措置法に基づき、危険な空き家には厳しい措置が取られています。国土交通省の「空家等対策の推進に関する特別措置法」(最終更新:令和5年12月)によれば、全国で特定空家の指定が進んでおり、福岡市も例外ではありません。

そのため、特定空家に指定される可能性がある建物は、自主的に解体や修繕を行ってしまった方が、補助金の活用や費用負担の面ではるかに有利になります。

管理不全による損害賠償リスクと相続人の責任

空き家の管理不全による損害賠償リスクの図解。建物崩壊や看板落下で通行人に怪我をさせた際、相続人が負う工作物責任と損害賠償の仕組みの解説。

空き家の管理を怠ると、建物の倒壊や屋根材の飛散などによって第三者に被害を与え、高額な損害賠償を請求されるリスクがあります。

民法第717条では、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と定められています。

つまり、相続した空き家が原因で通行人にケガをさせたり、隣家に損害を与えたりした場合、相続人全員が賠償責任を負うことになるのです。

例えば、台風で老朽化した屋根の瓦が飛んで隣の家の車を傷つけた場合、修理費用を支払う義務が発生します。さらに深刻なケースでは、建物の一部が崩れて通行人にケガをさせた場合、治療費や慰謝料として数百万円から数千万円の賠償金が請求される可能性もあります。

特に台風や大雨の多い福岡では、老朽化した空き家からの屋根材飛散や外壁崩落のリスクが高まります。火災保険や施設賠償責任保険に加入していない場合、これらの賠償金を全額自己負担しなければなりません。

宅建士

相続した時点で建物の状態を専門家に確認してもらい、危険性がある場合は早急に対処することが、リスク回避の第一歩です。
おそらく、このケースは今後もっと増えてくると思います。

近隣トラブルと行政指導のリスク

空き家を放置すると、雑草の繁茂、害虫の発生、不法侵入などにより、近隣住民とのトラブルに発展します。これは単なる人間関係の問題ではなく、行政による強制措置につながる可能性があります。

福岡市では「福岡市空家等の適正管理に関する条例」(平成26年12月制定)により、空き家の所有者に適正な管理義務を課しています。近隣からの苦情が寄せられると、市から助言・指導が行われ、改善が見られない場合は勧告、さらに命令へと段階的に措置が強化されます。

最終的には行政代執行により強制的に解体され、その費用は所有者に請求されます。行政代執行による解体費用は、入札手続きや事務コストが上乗せされるため、通常の工事よりも高額になることが多く、相場の1.5倍から2倍程度かかるケースもあります。

また、代執行費用を支払えない場合は、土地に対して先取特権が設定され、売却時に優先的に回収されるため、資産価値が大きく毀損します。つまり、放置すればするほど経済的損失が拡大する仕組みになっているのです。

福岡市環境局では空き家の相談窓口も設けていますので、近隣から苦情が来る前に、早めに相談することをおすすめします。

空き家を解体すべきケース・残すべきケース【判断基準】

「相続した空き家は解体した方がいいのか?」という質問に対して、一律の答えはありません。

建物の状態、立地、相続人の意向、将来の土地活用計画によって、最適な選択は変わります。ここでは宅建士とファイナンシャルプランナーの視点から、解体すべきケースと残すべきケースを具体的に解説します。

まず、解体したほうが良い場合の判断基準は以下のいずれかに該当する場合です。

  • 建物の老朽化・倒壊リスク
  • 再建築不可
  • 境界・接道問題
  • 売却時のマイナス評価
  • 固定資産税・特定空家リスク
宅建士

いずれかに該当する場合は、判断を誤り数百万円単位で損してしまうことがあります。

早期に解体を検討すべき3つのケース

以下の3つのケースに該当する場合、早期の解体を検討することをおすすめします。

  • 福岡市中央区・博多区など更地需要が高い立地
  • 倒壊リスクが高く特定空家指定の恐れがある建物
  • 3000万円特別控除を活用して売却する場合

更地需要が高い立地

ケース1は、福岡市中央区や博多区など、更地需要が高い立地です。これらのエリアでは、新築戸建て用地や駐車場用地、小規模マンション用地としての需要が強く、古い建物が残っていると買い手が限定されます。

宅建士の視点で言えば、これらのエリアでは「土地」そのものに価値があり、建物は「解体前提」と見なされることがほとんどです。解体して更地にすることで、購入希望者の間口が広がり、スムーズな売却が期待できます。

実際、福岡市中央区の天神・赤坂エリアや博多区の博多駅周辺では、更地の取引が活発です。

特定空き家指定の恐れがある建物

ケース2は、建物の老朽化が著しく、倒壊の危険性がある場合です。特に昭和56年5月以前に建築された旧耐震基準の建物は、大地震での倒壊リスクが高く、特定空家に指定される可能性があります。

40年以上の木造住宅で定期的なメンテナンスがされていない場合、屋根や外壁の劣化が進んでおり、台風などで大きな被害が出るリスクがあります。

福岡市でも特定空家の指定が進んでおり、指定を受ける前に自主的な解体を行う方が、補助金の活用や費用負担の面で有利です。

3000万円特別控除を使う場合

ケース3は、相続した空き家を売却し、3000万円特別控除(空き家特例)を活用する場合です。この特例を利用するには、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります。

ファイナンシャルプランナーとして試算すると、譲渡所得が大きい場合、この控除により数百万円の税金を節約できるケースもあります。解体後に更地として売却する、または耐震リフォーム後に売却するという選択肢があり、いずれも譲渡所得から最大3000万円を控除できます。

解体を急がない方がいいケース

一方で、以下のケースでは解体を急がない方が資産価値を守れる可能性があります。

  • 古民家としての価値やリノベーション需要がある建物
  • 再建築不可物件(建築確認が下りない土地)
  • 固定資産税特例を当面維持したい場合

まず、古民家としての価値やリノベーション需要がある建物です。福岡市内でも、趣のある日本家屋や昭和レトロな建物には一定の需要があり、そのまま売却した方が高値がつくケースがあります。

これは物の状態と市場ニーズを見極めた上で判断することが重要です。特に、福岡市南区や城南区の閑静な住宅街では、古民家をリノベーションしてカフェや店舗として活用する事例も増えてきています。そういった場合は、解体してしまうことで、付加価値を失うことになります。

次に、再建築不可物件の場合です。接道義務を満たしていない土地(建築基準法上、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地)や、都市計画上の制限により建築確認が下りない土地では、建物を解体すると二度と建物が建てられなくなります。

このような物件は、解体後に土地の利用価値が大きく低下するため、建物を残したまま売却するか、倉庫・駐車場など建築確認不要の用途で活用する方が賢明です。福岡市では、狭あい道路に面した古い住宅地にこうした物件が点在しています。

最後に、すぐに売却や活用の予定がなく、固定資産税の住宅用地特例を維持したい場合です。更地にすると固定資産税が最大6倍に増額されるため、当面の活用予定がないなら、最低限の管理を続けながら建物を残しておく方が税負担を抑えられます。

ただし、管理不全に陥らないよう、定期的な点検と清掃が必要です。

宅建士

不安な方は、管理費用と税負担のバランスを年単位でシミュレーションし、3年から5年のスパンで最適な判断をすることをおすすめします。

相続物件を解体する前に必ず確認すべき手続き

解体工事前に必要な相続登記の確認事項

相続した空き家を解体する際、「誰が契約主体になるのか」が明確でないとトラブルに発展します。

相続登記が完了していない、遺産分割協議が整っていない、共有名義の相続人全員の同意が取れていないといった状態で解体工事を進めると、後々費用負担や権利関係で揉める原因になります。

ここでは、解体契約を結ぶ前に必ず整えるべき法的手続きを、2024年4月から施行された相続登記義務化の影響も含めて解説します。

相続登記は必須か?未登記でも解体できる? 

結論から言えば、原則として相続登記を完了してから解体契約を結ぶことが推奨されます。

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きです。法務局で登記簿の名義を書き換えることで、誰が正式な所有者なのかが法的に明確になり、解体業者との契約もスムーズに進みます。

ただし、実務上は法定相続人全員の同意書があれば、相続登記が完了していなくても解体工事を行うことは可能です。この場合、相続人全員が連名で解体契約を結ぶか、代表者を立てて他の相続人から委任状をもらう形になります。

しかし、令和6年4月1日から「相続登記の申請の義務化」が施行されました。法務省によれば、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならず、正当な理由なく申請を怠った場合は10万円以下の過料が科されます。

この義務化により、未登記のまま解体を進めることのリスクがさらに高まっています。

遺産分割協議と解体費用の負担割合

相続人が複数いる場合、解体費用を誰がどのように負担するかを事前に決めておく必要があります。

法律上、相続財産は相続人全員の共有状態となり、解体費用も法定相続分に応じて按分するのが基本です。例えば、配偶者と子2人が相続人の場合、民法第900条の規定により、配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつ負担する計算になります。

しかし、遺産分割協議により、「土地を取得する人が解体費用を全額負担する」「売却後の代金から解体費用を差し引いて残りを分配する」といった柔軟な取り決めも可能です。重要なのは、口約束ではなく遺産分割協議書に明記し、後々の紛争を防ぐことです。

また、一人の相続人が立て替えて解体費用を支払い、売却後に精算するパターンもあります。この場合も、立替金の扱いを協議書に記載し、領収書をしっかり保管しておくことが大切です。

ファイナンシャルプランナーの視点では、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)や3000万円特別控除の売却期限(相続開始から3年を経過する年の12月31日まで)も考慮し、スケジュールを逆算して協議を進めることをおすすめします。

共有名義の場合は全員の同意が必要

相続した不動産が共有名義の場合、解体工事を行うには相続人全員の同意が必要です。これは法律で明確に定められており、一人でも反対すれば工事を進めることができません。

民法第251条では、「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」と定められています。建物の解体は「共有物の変更」に該当するため、共有者全員の同意が必要となるのです。

実際に、「兄は解体して売却したいが、妹は思い出の家を残したい」「長男は早く処分したいが、次男は賃貸活用を検討したい」といった意見の対立が生じるケースは少なくありません。このような場合、まずは話し合いで解決を図りますが、どうしても合意に至らない場合は家庭裁判所の調停や審判を利用することになります。

工事開始後に「やはり反対だ」と言われても、すでに足場を組んだり重機を手配したりしていると、キャンセル費用が発生します。ダイシンエンジニアリングでは、相続人間の調整段階から丁寧にヒアリングを行い、全員が納得した上で工事を開始する体制を整えるようにしています。

相続した空き家の解体費用相場【福岡市】

相続した空き家の解体を検討する際、最も気になるのが費用です。「いったいいくらかかるのか?」という不安を抱える方は多いでしょう。

解体費用は建物の構造、面積、立地条件によって大きく変動します。ここでは福岡市内での解体費用の概要を、一級土木施工管理技士として数多くの現場を手がけてきた経験をもとに解説します。

詳しい費用内訳や見積もりの注意点については、解体費用の詳細ガイドで詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。

構造別の費用相場(概要)

福岡市内での解体費用は、建物の構造によって大きく異なります。

木造住宅が最も安価で、1坪あたり3.5万円から5万円程度が目安です。30坪の木造住宅なら、おおよそ100万円から150万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

鉄骨造はやや高額になり、1坪あたり4万円から6万円程度。RC造(鉄筋コンクリート造)はさらに高額で、1坪あたり5万円から8万円程度が目安です。構造が頑丈なほど解体に手間と時間がかかるため、費用も高くなります。

ただし、これはあくまで建物本体の解体費用です。相続物件の場合、次に説明する追加費用が発生するケースが多いため、総額はさらに増える可能性があります。

相続物件で追加費用が発生しやすいケース

相続した空き家の解体では、通常の解体工事にはない追加費用が発生することがあります。

  • 家財や残置物の処分費用(10万円〜50万円)
  • 庭木・庭石・物置の撤去費用(10万円〜30万円)
  • 敷地境界の測量費用(30万円〜50万円)
  • 地中埋設物の撤去費用(発見された場合)

長年住んでいた実家の場合、思い出の品や大型家具、家電製品が大量に残されているケースが多く、これらの処分費用が想定以上にかかることがあります。

また、古い住宅地では敷地境界が不明確なケースが多く、隣地とのトラブルを防ぐために測量を行うことを推奨します。特に福岡市内の昭和年代に開発された住宅地では、境界標が失われていることが珍しくありません。

福岡市内の解体費用について、構造別の詳細な費用内訳、見積書のチェックポイント、費用を抑える具体的な方法などは、解体費用の詳細ガイドをご覧ください。

解体費用を抑える方法【補助金・控除の概要】

相続した空き家の解体には、費用負担を軽減できる公的な支援制度があります。

福岡市の補助金制度と、国の税制優遇措置をうまく活用することで、実質的な負担を大きく減らすことが可能です。ここでは、それぞれの制度の概要と適用条件のポイントを解説します。ファイナンシャルプランナーとして多くの相続案件に携わってきた経験から、これらの制度を知らずに損をしているケースが非常に多いと感じています。

福岡市の空き家解体補助金制度

福岡市では、老朽化した危険な空き家の解体を促進するため、補助金制度を設けています。

補助率は解体費用の2分の1で、上限額が設定されています。対象となる建物は、一定期間以上使用されていない空き家で、老朽化により周辺に危険を及ぼす恐れがあるものです。また、所有者が市税を滞納していないことも条件となります。

福岡市環境局の「空家等対策の推進」(最終更新:令和6年度)によれば、具体的な補助金額や対象条件は年度ごとに見直されるため、最新情報を確認することが重要です。

  • 補助金の申請は解体工事を始める前に行う必要がある
  • 工事着工後の申請は受け付けられない
  • 年度ごとの予算上限があり、申請が集中すると年度途中で受付終了

解体を検討している場合は、年度初めの早い時期に福岡市環境局へ相談することをおすすめします。ダイシンエンジニアリングでは、補助金申請のサポートも行っていますので、必要書類の準備や申請手続きについてもご相談ください。

詳しい申請条件や必要書類については、福岡市環境局のウェブサイトで最新情報を確認してください。

3000万円特別控除(空き家特例)の概要

相続した空き家を売却する際、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度があります。

国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和5年度税制改正対応)によれば、この特例を受けるには以下の条件を満たす必要があります。

  • 被相続人が一人暮らしだった
  • 建物が昭和56年5月以前に建築された旧耐震基準の一戸建て
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却
  • 売却価格が1億円以下

解体後に更地として売却する方法と、耐震リフォームを行った上で建物付きで売却する方法の両方で、この特例を利用できます。どちらを選ぶかは、福岡市内の不動産需要や、改修費用と売却価格のバランスを考慮して判断する必要があります。

宅建士

この特例を活用する場合は、相続開始後早めに売却スケジュールを立て、税理士と連携して進めることが重要です。
適用を受けるための書類準備(被相続人居住用家屋等確認書の取得など)や確定申告の手続きも複雑なため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

解体工事の流れ【相続物件の場合】

相続した空き家の解体は、通常の解体工事とは異なる手続きが必要です。

相続人の合意形成から相続登記、解体業者の選定、工事実施、そして建物滅失登記まで、一連の流れを理解しておくことで、スムーズに工事を進めることができます。ここでは、相続物件特有の手続きを含めた全体像を解説します。

なお、解体工事の詳しい流れや各ステップでの注意点については、解体工事の流れ完全ガイドで詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

解体工事の基本ステップ

相続物件の解体は、以下の5つのステップで進みます。

STEP
相続人全員の合意と遺産分割協議

誰が費用を負担するのか、売却後の代金をどう分配するのかを明確にし、遺産分割協議書に記載します。共有名義の場合は全員の同意が必要です。

STEP
相続登記(原則)

被相続人の名義から相続人の名義に変更します。2024年4月から義務化され、3年以内に登記しないと過料が科されます。福岡法務局で手続きを行います。

STEP
解体業者の選定・見積もり

建設業許可や産業廃棄物処理の許可を持つ業者を選び、複数社から見積もりを取って比較検討します。見積書の内容が明確で、追加費用の発生条件がはっきり示されているかを確認してください。

STEP
解体工事の実施

木造30坪程度の住宅なら、工期は1週間から2週間程度が目安です。近隣への事前挨拶、養生の設置、廃材の適正処理など、一級土木施工管理技士として現場管理を徹底します。

STEP
建物滅失登記(解体後1ヶ月以内)

解体工事が完了したら、1ヶ月以内に法務局へ建物滅失登記を申請する必要があります。この手続きを怠ると10万円以下の過料が科されるだけでなく、固定資産税が二重課税状態になったり、売却時に問題が生じたりするため、必ず期限内に申請してください。

解体工事の詳しい流れや各ステップの注意点、必要書類や期限については、解体工事の流れ完全ガイドをご覧ください。近隣挨拶の範囲や建設リサイクル法の届出、ライフライン停止の手続きなど、実務的な情報を詳しく解説しています。

よくあるトラブルと予防策

相続した空き家の解体では、通常の解体工事とは異なるトラブルが発生しやすい傾向があります。

相続人間での意見対立、近隣からのクレーム、不明瞭な追加請求、建物滅失登記の失念など、事前に対策を講じることで回避できるリスクが多くあります。

施工管理技士として多くの現場を管理してきた経験から、よくあるトラブルとその予防策をお伝えします。

  • 相続人間での意見対立(解体派vs残存派)
  • 近隣トラブル(騒音・粉塵・境界問題)
  • 不明瞭な追加請求(地中埋設物・アスベスト)
  • 建物滅失登記の失念(過料・二重課税のリスク)

相続人間での意見対立は、「解体したい派」と「実家を残したい派」で感情的な対立に発展するケースが典型的です。解体の必要性を数字で示し(固定資産税の増額、管理費用の累積、損害賠償リスク)、同時に思い出を残す方法(写真撮影、思い出の品の保管)を提案することで、合意形成がスムーズになります。

近隣トラブルは、騒音、粉塵、道路占有などが原因で発生します。福岡市では「福岡市生活環境保全条例」により、工事の騒音や作業時間に関する規制があり、これを遵守することが大前提です。事前挨拶の範囲は最低でも隣接する3軒、できれば向かい側や裏の家まで含めることを推奨します。

不明瞭な追加請求を防ぐには、見積書の段階で「一式」表記の内訳を確認し、地中埋設物やアスベストの事前調査を行うことが重要です。追加費用が発生する可能性がある項目については、事前に報告ルールを契約書に明記しておくことで、後のトラブルを防げます。

解体工事でのトラブル事例や対処法について詳しく知りたい方は、解体トラブル回避ガイドをご覧ください。養生の徹底、こまめな散水、交通誘導員の配置など、ダイシンの近隣配慮の取り組みも紹介しています。

【よくある質問】空き家・相続物件の解体Q&A

相続した空き家の解体について、読者の方からよく寄せられる質問に回答します。

相続登記をしないと解体できませんか?

原則として、相続登記を完了してから解体契約を結ぶことが推奨されます。ただし、例外的に法定相続人全員の同意書があれば、未登記のままでも解体工事を行うことは可能です。

しかし、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、法務省の「相続登記が義務化されます」によれば、相続開始を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されるようになりました。契約主体が曖昧な状態での工事は後のトラブルを招きやすいため、必ず相続登記を済ませてから着工することをおすすめします。

福岡法務局では相続登記の相談窓口を設けていますので、早めに手続きを進めてください。

解体後、固定資産税はいつから上がりますか?

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物の状態で課税されます。12月に解体工事を完了すれば、翌年1月1日時点では更地となるため、翌年度から更地課税(住宅用地特例なし)となります。

住宅用地特例が解除されると、固定資産税が最大6倍に増額されるため、大きな負担増となります。例えば、年間10万円だった税金が60万円に跳ね上がるケースもあります。

ただし、売却を前提としている場合は、税負担が増える期間は限定的です。宅建士・ファイナンシャルプランナーの視点では、売却スケジュールと税負担のバランスを事前にシミュレーションし、解体のタイミングを最適化することをおすすめします。

福岡市の補助金は解体後でも申請できますか?

いいえ、できません。福岡市の空き家解体補助金は、必ず解体工事を始める前に申請する必要があります。工事着工後の申請は受け付けられませんので、解体を検討している段階で早めに福岡市環境局へ相談してください。

また、補助金には年度ごとの予算上限があり、申請が集中すると年度途中で受付が終了することもあります。年度初めの早い時期に相談することをおすすめします。

ダイシンエンジニアリングでは、補助金申請のサポートも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。必要書類の準備や申請手続きについてもご相談いただけます。

まとめ:相続空き家は早期判断と専門家活用がカギ

相続した空き家を放置することは、固定資産税の増額、損害賠償リスク、行政からの強制執行など、最もコストとリスクが高い選択です。

一方で、解体すれば必ず正解というわけではなく、建物の状態や立地、相続人の状況によって、最適な判断は変わります。重要なのは、相続開始後3年という期限を意識し(3000万円特別控除の売却期限・相続登記義務化)、早期に方針を決めることです。

解体は「手段」であり、「目的」ではありません。土地を売却するのか、賃貸するのか、自己利用するのか、出口戦略から逆算して解体の要否を判断することが、資産価値を最大化するカギとなります。宅建士とファイナンシャルプランナーの視点では、長期的なキャッシュフローと税負担をシミュレーションした上で、最適な選択をすることが重要です。

判断に迷ったら、土木・宅建士・ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談することをおすすめします。福岡市では、補助金制度や相談窓口も充実していますので、これらを積極的に活用してください。

ダイシンエンジニアリングは、一級土木施工管理技士、宅建士、ファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフが、相続空き家の解体から土地活用まで、複合的な視点でサポートします。福岡市指定給水工事店として公共工事の実績も豊富で、確実で丁寧な施工をお約束します。

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記事監修者

森 裕晃のアバター 森 裕晃 代表取締役 / 一級土木施工管理技士

株式会社ダイシンエンジニアリング代表取締役。一級土木施工管理技士、給水装置工事主任技術者。福岡県内での公共工事および民間工事(解体・造成・外構)の現場指揮を20年以上務める。現場の安全管理と品質向上を第一に掲げ、地域に根ざしたインフラ整備に尽力している。

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