工事後の追加請求は、契約前に「追加工事が出たときの進め方」を書面で決めておくことで防げます。
福岡市で解体・宅地造成・水道引き込みの見積もりを受け取り、契約を控えている方もいるでしょう。着工後に費用が増えないか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、追加費用が発生する仕組みから、見積書・契約書で確認すべきチェックポイントまでを解説します。一級土木施工管理技士が現場管理を行う施工会社の立場からお伝えします。
着工後の追加請求はなぜ起きる?費用が増える仕組みを知っておく
追加請求の多くは、契約の時点では見えない部分があることから起きます。ただし、トラブルになるのは追加費用そのものより、施主に相談なく工事を進めてしまうことです。
地中や壁の中は契約時点で確定できない
見積もりは、地上から見える範囲をもとに作ります。地中の古い基礎や床下の配管は、壊したり掘ったりするまで分かりません。
どれだけ丁寧に現地調査をしても、見えない部分の費用までは契約前に確定できないのが現場の実情です。
見積もりの「前提条件」と現場の実態がずれるケース
見積書の金額は、「家財は施主が片付ける」「地盤はそのまま使える」といった前提で計算されています。この前提が現場と違えば、作業が増えて費用も変わります。
困るのは、前提が見積書に書かれていない場合です。知らないまま契約すると、施主には突然の追加請求に見えてしまいます。
トラブルになるのは追加費用そのものより「合意のない追加」
埋設物が出たのは仕方ない。でも、相談もなく撤去されて、請求書だけ届くのは納得できない。
こうした不満の原因は、金額を聞いて判断する機会がなかったことです。見つかった時点で写真を見て、金額を聞いてから決められれば、同じ費用でも納得感は大きく変わります。
追加費用はゼロにできなくても、見つかったときの進め方は契約前に決めておけます。
福岡市の現場で追加費用が出やすい典型パターンと判明するタイミング

追加費用がいちばん出やすいのは、地面を掘ったときです。どの工事で何が見つかりやすいかを知っておけば、報告を受けても落ち着いて判断できます。
| 解体:基礎を掘り起こしたとき | 古い基礎・井戸・浄化槽 |
| 造成:土を掘ったとき | 傷んだ擁壁・質の悪い盛土 |
| 給水:道路を掘ったとき | 深い本管・傷んだ既存管 |
解体作業中|井戸・浄化槽・古基礎・残置物
解体で多いのは、建物を撤去したあとに地中から古い基礎や浄化槽が出てくるケースです。家の中の家財が、片付けてみると想定より多かったということもあります。
依頼者側のミスとしてよくあるのが「昔あった井戸や増築の履歴を、業者に伝え忘れている」ことです。こういったミスをなくすために、現地調査の際、「井戸があった」「浄化槽を使っていた」など、覚えていることはすべて伝えておくことをおすすめします。
宅地造成中|擁壁の劣化・盛土の入れ替え・地盤状態の変更
造成では、擁壁(土を支える壁)の裏側や、以前に盛った土の状態が、掘ってはじめて分かります。古いブロック積みや石積みの擁壁は、使えないと判断されて造り直しになることがあります。
西区や早良区の傾斜地では、擁壁が関わる現場が多くなります。ひび割れや傾きがないか、現地調査で業者と一緒に見ておくと安心です。
給水引き込み時|本管の位置・配管の劣化・道路の舗装復旧範囲
水道の引き込みでは、道路を掘って福岡市水道局の本管を出したときに、条件が変わることがあります。本管が深い場合や、近くにガス管があって手掘りになる場合は、そのぶん作業が増えます。
今ある水道管を使い回す予定でも、掘ってみたら傷んでいて交換が必要になることがあります。既存管が使えなかった場合の費用も、見積もりの段階で出してもらうと安心です。
道路の舗装をどこまで直すかは、各区役所の許可条件で決まります。その費用をどちらが負担するかは、次の章で確認します。
【契約前チェック①】見積書の「前提条件」と追加時の精算基準を確認する

見積書で確認したいのは、金額よりも「何が含まれていないか」と「追加になったらどう計算するか」の2点です。ここが書かれていれば、追加費用が出ても金額の根拠がはっきりします。
「地中埋設物は別途」など除外項目の書かれ方
見積書の備考欄に、「地中埋設物は別途」「残置物は含まず」と書かれていることがあります。見えない部分を分けて書いているだけで、不誠実な見積もりというわけではありません。
確認したいのは、別途になったときにどんな手順で金額が決まるかです。「別途協議」とだけ書かれている場合は、契約前に中身を聞いておきましょう。
「一式」表記や現地調査の有無の見方は、「造成・解体工事の見積書の見方」で詳しく解説しています。
追加工事が発生した際の「単価・数量基準」があらかじめ決まっているか
追加費用で揉めやすいのは、金額の根拠が分からないときです。たとえば地中のコンクリートガラなら、「1㎥あたり〇円」と単価を先に決めておけば、出てきた量に応じて計算できます。
単価が決まっていれば、写真で量を見て、だいたいの金額を自分でも想像できますね。
量の確認方法も、撤去前後の写真や運び出したトラックの台数など、施主が後から確かめられる形にしてしておくと安心です。
交通誘導員の配置・道路占用許可(舗装復旧費)の負担区分
道路に面した現場で交通誘導員が必要な場合は、何人を何日配置する前提なのかを見積書で確認しておきましょう。
【契約前チェック②】契約書に入れておくべき追加工事のルール
追加請求を防ぐ一番の決め手は、「追加になったらどう進めるか」を契約書に書いておくことです。口頭で聞いた説明も、書面に残さなければ後から確かめられません。
建設業法・建設リサイクル法で契約書に書くべきこと
建設業法では、工事の請負契約を結ぶときに、工事内容や請負代金の額などを書面に記載して交わすことが定められています。その中には、設計変更があった場合の代金の変更と、その算定方法に関する定めも含まれます。
つまり、「追加になったら金額をどう決めるか」は、法律上も契約書に書いておくべき項目です。延床面積80㎡以上の建物の解体では、建設リサイクル法により、分別解体の方法や解体費用も契約書に記載する必要があります。
地中埋設物が見つかったときの「報告・写真共有・見積提示」の手順
契約書や覚書には、埋設物が見つかったときの流れも書いておきましょう。「作業を止める、写真で施主に報告する、追加の見積もりを出す」という順番が決まっていれば、知らないうちに工事が進むことはありません。
遠方に住んでいて現場に行けない方でも、写真があれば状況を判断できるので必ずチェックしておくようにしておきたい項目です。
追加工事は「事前協議→書面で変更契約→着工」の順にする
追加工事は、話し合って金額に納得してから書面で契約を変更し、そのあとに着工するのが原則です。建設業法でも、契約内容を変更するときは、変更の内容を書面で交わすことが定められています(第19条第2項)。
口頭の約束は備考欄・覚書(特約)で書面に残す
「多少の残置物はサービスで」「ガラが少量なら追加なし」といった口頭の約束は、担当者が変わると伝わらないことがあります。こうした約束は、見積書の備考欄か覚書(契約書に付け加える取り決め)に書いてもらいましょう。
工事の境目(責任の切れ目)で発生する追加請求を防ぐ一括管理の強み

追加請求は、工事と工事の「境目」でも起こります。解体・造成・給水を1社がまとめて管理すれば、この境目そのものがなくなります。
解体・造成・給水を別発注した際に起きる工程間の責任のすき間
解体・造成・給水を別々の業者に頼むと、それぞれの見積もりは自社の工事範囲だけで作られます。そのため、範囲の境目にある作業が誰の担当にもならないことがあります。
たとえば、解体後の整地が造成に必要な状態まで仕上がっておらず、造成側から追加費用が出るケースがあります。造成と水道の工程がかみ合わず、一度直した道路をもう一度掘り直すこともあります。
どちらの業者が悪いという話ではなく、発注が分かれていることで生まれるすき間です。
発見時は工事を止めて報告し、写真と金額を示して合意後に着工
当社では、地中埋設物などが見つかったら作業を止め、施主に写真で状況を報告します。追加の見積もりをお見せし、ご納得いただいてから工事を再開します。
現地調査は一級土木施工管理技士が行い、想定されるリスクは見積書に先に書いておきます。契約前から追加の可能性をお伝えしておくことで、着工後の「聞いていない」を防ぐようにしていますのでご安心ください。
一括管理で工程間の責任を1社に集約するメリット
当社では、解体から造成、給水引き込みまでを元請として一括で管理しています。
- 一級土木施工管理技士が、全工程の段取りと現場を管理
- 福岡市指定給水装置工事事業者として、給水の申請から施工まで対応
- 解体・造成・給水の境目の作業も、最初の見積もりに含めて提示
窓口が1つなので、追加の相談先に迷うこともありません。業者選びの考え方は「失敗しない土木・解体業者の選び方」で、指定業者の制度は「指定給水工事店でない業者に依頼するリスク」で解説しています。
また、当社では契約前のお見積りチェックや、セカンドオピニオンのご相談も受け付けています。
検討中の方がすべきこと|契約前の最終チェックシートと相談のタイミング

契約前にすべきことは、「追加工事のルールが書面に入っているか」を確かめることです。届出や許可には期限があるため、契約から着工までの日程にも余裕を持たせておきましょう。
契約書・覚書に書かれているかを確認する最終チェックシート
契約書にサインする前に、次の項目が契約書・見積書の備考欄・覚書のどこかに書かれているかを確認しましょう。
- 追加工事の金額の決め方(単価や算定方法)
- 地中埋設物が見つかったときの「作業中断・写真報告・見積提示」の流れ
- 追加工事は書面で契約を変更してから着工すること
- 交通誘導員と舗装復旧の費用をどちらが負担するか
- 口頭で約束したこと
- 延床面積80㎡以上の解体なら、分別解体の方法と解体費用
書かれていない項目があれば、契約前に業者へ追記をお願いしてください。不動産会社の方は、このリストをそのまま施主との確認に使えます。
契約日から着工までのスケジュール目安(届出・許可の期限)
延床面積80㎡以上の建物を解体する場合、建設リサイクル法の届出が、工事着手の7日前までに必要です。届出先は、福岡市住宅都市局 建築指導部 建築物安全推進課です。
参考:福岡市「建設リサイクル法の窓口申請について」
届出の義務は発注者である施主にありますが、実務では、業者が施主に代わって届出を行います。ダイシンエンジニアリングでは、届出・申請の代行費用を見積もりに含めています。
水道の引き込みで道路を掘る場合は、各区役所の道路占用許可が必要です。許可までに2〜3週間ほどかかるため、契約から着工まで1か月程度は見ておくと安心です。
着工後に想定外の請求を受けたときの相談先(福岡市消費生活センター等)
合意していない追加請求を受けたら、支払う前に、契約書と現場の写真を手元にそろえましょう。業者と話し合っても解決しない場合は、福岡市消費生活センター(092-781-0999)に相談できます。
追加請求に関するよくある質問
- 追加費用の上限を、契約書で決めておくことはできますか?
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できます。「追加費用が〇万円を超える場合は、着工前に改めて協議する」のように、上限と超えたときの扱いをセットで書いておくと安心です。
- 地中埋設物の撤去費用は、施主と業者のどちらが負担しますか?
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見積書で「地中埋設物は別途」とされている場合は、施主の負担になります。そのため、金額の決め方を契約前に確認しておくことが大切です。
- 遠方に住んでいて現場に立ち会えない場合、追加工事の確認はどうすればよいですか?
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報告を受ける連絡先と方法(電話・メールなど)を、契約前に業者と決めておきましょう。写真での報告に加えて、近くに住む家族や不動産会社の担当者に現場確認を頼んでおくのも一つの方法です。
- 見積書にない作業の費用を、工事後に請求された場合は支払う必要がありますか?
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まずは契約書の定めを確認し、業者に請求の根拠と作業の記録を説明してもらいましょう。話し合っても納得できない場合は、支払う前に相談窓口へ相談してください。
まとめ|契約前の確認と相談で追加請求の不安はなくせる
追加費用は、見えない部分があるかぎりゼロにはできません。ただし、見つかったときの進め方を契約前に書面で決めておけば、知らないうちに費用が増えることは防げます。
契約前に確認したいのは、次の3点です。
- 見積書に、除外項目と追加時の単価が書かれているか
- 契約書に、「報告・写真共有・見積提示」の流れと、書面での契約変更が入っているか
- 口頭の約束が、備考欄や覚書に残っているか
ダイシンでは、一級土木施工管理技士が現地調査を行い、解体・造成・給水を一括で管理しています。今お持ちの見積書や契約書を見ながらのご相談にも対応していますので、契約前に気になる点があればお気軽にお問い合わせください。

